珈 琲 蜻 蛉(カフェトンボ)
珈琲と癒される空間が好きだ。たまに、古民家を改装したカフェに行く。初めて訪れた時、マスターから「希望があれば何か書きますよ」と言われ、トンボをお願いした。最初は戸惑われていたが、書きやすそうなカワトンボの写真を見せると、快く引き受けてくれた。そして、出てきた珈琲を見て感動した。それ以来、訪れるたびにトンボを書いてもらっているが、先日、ハッチョウトンボをお願いした。これはかなり難しいだろうと思っていたが、なんと色までつけて仕上げてくれた。ここまで完成度の高い作品には、驚かされた。恐るべし、マスター。
北海道旭川育ち
小さい頃、テレビゲームなどはなく、遊びといえば野球や缶蹴り、虫取りなど外で遊ぶことしかなかった。生まれは留萌で、1歳のときに旭川へ引っ越してきた。近所には春光園があり、遊ぶには最高の場所だった。夏になると網を持って春光園の池に行く。目的はオオルリボシヤンマだ。この池にはたくさんのオオルリボシヤンマがいた。小学校の先輩から、「青い網を振るとオオルリは近くまで寄ってくる」と教えられ、その通りにすると本当にオオルリは近くまでやってきた。友達と何匹捕まえるか競争するのが毎日の楽しみだった。やがて大人になり、帰郷して久しぶりに春光園に行くと、そこはジャブ池公園へと変わってしまっていた。イトトンボやオオルリなど、植生豊かな池は跡形もなく、アスファルトで覆われていた。
2002年、トンボ観察開始
あれから30年が経ち、子供たちと一緒に虫採りをする時間が増え、自然と昔の血が騒ぎ始めた。大人になった今、移動手段には自由に車を使い、必要な情報はインターネットで入手し、観察に必要な道具も手軽に購入できる。ビデオカメラやデジタルカメラを使えば、その瞬間を簡単に記録し残せる。そんな中、私は息子と娘に、私が経験してきた自然の魅力をこの時代に伝えたいと思い、トンボの観察を始めた。なぜトンボなのか。それは、カブトムシやクワガタムシと比べて種類が多く、日本全国に約200種類が生息しているからだ。旅行も兼ねて観察を楽しめること、種を見つける喜びや写真に収める楽しさ、そして自然環境に敏感な生き物であることから、子供たちの社会勉強にも役立つと考えた。おかげさまで、子供たちの自由研究ではトンボの環境問題をテーマにし、見事に入選し、賞を受けることができた。写真は、トンボ観察最初の記念すべき、セスジイトトンボのメスとアジアイトトンボのメスある。
カメラについて
私のトンボ撮影の歴史は、DCR-TRV30というデジタルビデオカメラから始まった。デジタルカメラ機能も備え、155万画素の画質、光学ズームは10倍、そしてカールツァイスレンズが、見事にトンボの姿を捉えてくれた。その後、2005年にはパナソニックのFZ30を購入。光学19倍のズーム性能は、遠くの被写体を捉えるのに絶大な威力を発揮した。ただし、その性能を最大限に活かすには三脚は必須だった。仕事の出張でよく使用していたコンデジが、壊れてしまい、IXY800(Canon)を購入。出張の際には、空いた時間のトンボの撮影にこのコンパクトなカメラが大いに役立った。2008年夏、防水機能を備えたオリンパス1030SWを入手。水中での産卵シーンを撮影することを夢見ての購入だったが、なかなか思うようにはいかず、少しもどかしい思いをした。そんな折、ついにSONYのα55を購入し、デジタル一眼レフカメラの世界に足を踏み入れた。セットについてきた18-200mmのレンズでは物足りず、100mmマクロレンズも同時に購入。それから12年間愛用してきたカメラから、新しい機種の購入を検討した。近年はミラーレスカメラが主流となる中、すでに購入しているレンズ資産を活用すべく、あえてAマウントのフラッグシップモデルを選んだ。これは、SONYのAマウント最後のフラッグシップ機を手に入れるという、時代の流れに逆らった決断だった。しかし、4000万画素の高機能カメラではGレンズかカールツァイスでないと、その威力を活かせず、結局G300mmを購入することになった。その後、現在までにカールツァイスの135mm単焦点レンズや、distagonを購入し、4000万画素さながらの深みのある色合いの写真撮影を楽しんでいる。
ホソミモリトンボ - SONY α99M2 SAL70-300mm F4.5-5.6 G SSMⅡ 200mm 1/1250 F6.3 ISO 200
ヤエヤマハナダカトンボ - SONY α99M2 Distagon T* 24mm F2 F2.8Macro 1/250 F2.5 ISO 200
アマミルリモントンボ - SONY α99M2 SAL100M28 100mm F2.8Macro 1/250 F2.8 ISO 100
撮影方法について
イトトンボ類の撮影には、ほとんどマクロレンズを使用する。しかし、その撮影はかなりの根気を要する。特に真夏の暑さの中でのイトトンボ撮影は、熱中症との闘いだ。かつて、ヒヌマイトトンボの撮影に3時間も没頭していた際、ついに熱中症になり、体調が回復するまで車の中で休む羽目になった。池の周囲を巡るように飛ぶトンボは、置きピンで連写を繰り返すことで、何枚かは良い写真が撮れる可能性がある。しかし、限られた時間内での飛翔撮影は、必ずしも満足のいく結果をもたらすわけではない。そこで、ネットを使ってトンボを捕らえ、近くの木や草の上に止まらせて演出撮影を行うこともある。実際に、そのトンボがそのように止まるかどうかはわからないが、被写体を確実に撮るためにはやむを得ない方法の一つだ。私は標本を作ることはなく、すべてキャッチ&リリースを徹底している。ネットを使う際も、トンボを傷つけないように細心の注意を払っている。
撮影マナーについて
トンボの生息地である里山やため池、河川、国有林、国立公園、世界自然遺産などは、ほとんどが国や自治体、私有地に属しています。そのため、私有地に関しては土地の所有者の許可を得て撮影を行っています。国有林の場合は、林野庁に「入林届」を提出し、許可証を取得した上で腕章を着用して撮影しています。西表島については、世界遺産登録に伴い立入制限区域が設けられているため、立入制限許可を申請し、講習を受講した上で観察を行っています。

